試験室の提言1

無収縮モルタル性能比較実験

 

 この度、当社で取り扱う無収縮モルタルの性能比較実験を、当社試験室にて行いました。

 今回の実験の目的は、各社製品の経過時間による流動性の変化を調べることです。

 「当社の主力であるA社の製品」「B社の同等品」「C社の新商品」の3種類を各商品カタログの規格に基づいて試験練りを行い、コンステンシーフロー値を5分間隔で、圧縮強度を1、2、37日、28日で測定しました。

 圧縮強度は各社製品とも1日目3040N/mm²7日目5060N/mm²とカタログ通りの数値を満たしており、問題は無いのですが、コンステンシーとフロー値にはそれぞれ大きな差が生じました。

 まずC社の製品は練り上がり直後の流動性の数値は非常に良かったものの、測定開始15分後から急速に硬化が進行し、コンステンシーは流下せず、フロー値は全く広がりませんでした。
また製造ロットの違う同製品を使用して同じ試験を行った場合の結果もばらつきがあり、数値が安定しませんでした。
 
この結果から、C社の新製品はポンプ圧送時の詰まりや型枠の奥の隙間まで充填する前に硬化してしまう可能性が有ることが分かりました。

コンステンシー(単位:秒) 直後 分後 10 分後 15 分後 20 分後 25 分後 30 分後 35 分後 40 分後
C社 @ 5.61 7.18 8.89 11.29 17.76 計測不能
C社 A 5.89 7.32 8.71 10.75 18.1 計測不能
C社 @ 7.06 8.63 11.93 計測不能
C社 A 7.2 8.92 12.42 計測不能

フロー(単位:mm) 直後 分後 10 分後 15 分後 20 分後 25 分後 30 分後 35 分後 40 分後
C社 180X185 180X175 175X175 175X170 175X170 170X170 165X165 165X165 160X160


 
次にB社の製品は測定開始から30分くらいまでは、コンステンシー、フロー値共に安定していましたが、その後急速に硬化が始まり、35分後にはコンステンシーフロー値共に測定不能になりました。
 
この結果から、B社製品は長距離のポンプ圧送や大きな型枠への充填には不向きだと言うことが分かりました。

コンステンシー(単位:秒) 直後 分後 10 分後 15 分後 20 分後 25 分後 30 分後 35 分後 40 分後
B社 @ 6.75 6.98 7.83 8.93 10.19 10.1 13.48 14.05 計測不能
B社 A 6.38 7.01 8.23 8.44 10.69 10.23 13.36 15.73 計測不能

フロー(単位:mm) 直後 分後 10 分後 15 分後 20 分後 25 分後 30 分後 35 分後 40 分後
B社 200X195 205X205 190X190 180X175 175X175 155X155 140X140 130X130 110X110


 
そしてA社の製品は時間の経過と共にゆっくりと硬化していき、測定開始106分後までコンステンシーフロー値共に数値が安定して計測できました。
 
この結果から、A社製品はポンプ圧送等、可仕時間が長く必要とされる工事に向いており、優れた作業性を有していることが分かりました。

コンステンシー(単位:秒) 直後 分後 10 分後 15 分後 20 分後 25 分後 30 分後 35 分後 40 分後
A社 @ 7.65 8.41 9.26 9.93 10.86 11.37 12.06 11.34 12.28
A社 A 6.38 7.2 8.62 10.1 10.64 11.02 10.87 11.65 12.04

フロー(単位:mm) 直後 分後 10 分後 15 分後 20 分後 25 分後 30 分後 35 分後 40 分後
A社 180X185 180X175 175X175 175X170 175X170 170X170 165X165 165X165 160X160


 
『カタログに記載された数値は試験練り直後の数値であり、製品の作業性や特性はカタログだけでは掴めない』というのが、今回の実験で得られた結論です。
 
当社は現場においてを結果を求められる商品は事前に試験を行い、性能、特性を確認してから使用することを推奨しています。
 
建材に関して疑問がある方、特性を把握したい方は是非とも当社へ御相談下さい。

 

戻る