グラウト工事におけるテストピースの管理について
先日、当社でテストピースの管理不備が原因と思われる、強度試験の結果での失敗が発生しました。
圧縮試験において3日分、7日分の試験体の強度が正常であるにも関わらず、
28日分の全ての試験体が3日目の強度すら下回る値で斜めに破断するというものです。
3日試験 平均 49.6N/mm² |
7日試験 平均 61.3N/mm² |
28日試験 平均
27.7N/mm² |
試験体の練り混ぜには容量20Lのペール缶を使用し、元請けの管理者立ち会いの下で
プレユーロックス25sに対して規定の水量(3.5s)を投入、撹拌機にて二分間練り混ぜを行い、
練り混ぜ終了後 Jロート試験及びモルタル温度が規格値内であることを確認。
5cm×10cmのサミット缶にて3日分3本、7日分3本、28日分3本、計9本のテストピースを、
全て同一容器(ペール缶)から採取しました。
その後、帰社時に発泡スチロールの箱に入れた状態で当社へ持ち帰り、試験室にて保管。
翌日キャッピングを行い、さらに試験室にてキャッピングの養生保管。
翌々日型枠脱型後全てのテストピースを県技術センターへ運搬し、試験日まで保管。
  
破断状況
練り混ぜの条件は仕様書の通りであり、Jロート試験等の値も規格値内であることを確認しているので、
試験体採取までの手順に間違いは無いと思われます。
ここで考えられる原因として、硬化初期段階での転倒もしくは墜落によるクラックの発生が挙げられます。
グラウトは硬化初期の段階(約8時間)では殆ど強度が無く、僅かな衝撃で簡単にクラックが入ります。
今回、写真の様な配置での保管、運搬であった為、28日分のみ被害を受けたものと推測されるのです。

当社では今後このような失敗を繰り返さない為、以下の事項を徹底していく所存です。
・試験体を採取後、サミット缶を転倒や振動、衝撃から十分に保護できる状態で保管する。
・当日中の運搬は避け、翌日以降完全硬化を確認後、安静な状態で試験施設へ運搬する。
・管理状態を明確にする為に管理者を定め、採取から運搬まで十分に注意して行う。
試験の失敗を補う為、公的機関によるシュミットハンマー試験及び抜き取り試験が行われ、不要な経費がしました。
皆様もご注意下さい。
参考資料
特集 試験室からの提言
提言1 無収縮モルタルの比較
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